「数字のマジック」として、メディアでもしばしば取り上げられますが、塾や予備校の合格実績ほど、気をつけなければならないものはありません。
大阪大学を100人受けて20人合格したひまわり予備校と、10人受けて5人合格したスイートピー予備校では、どちらに通いたいでしょうか?
合格者数だけみると、ひまわり予備校「大阪大学20人合格」、スイートピー予備校「大阪大学5人合格」で、ひまわり予備校の方がインパクトがあります。しかし、合格率で考えると、ひまわり予備校「大阪大20%」、スイートピー予備校「大阪大50%」であり、スイートピー予備校に通った方が圧倒的に大阪大学に合格する可能性が高いことが分かります。
これは、宝くじ理論といい「1等5億円が当店から出ました!」と言われると、その店で買ったほうが当たりそうな気がするのと同じです。冷静に考えてみると、くじの販売数・生徒数が同じではないと比較できないことは明らかです。そして、大切なのは「合格者数」ではなく、「合格率」だということに気付きます。
さあ、ここからがポイントです。
実は、合格率もあまり重要ではないのです。「神戸大学80%合格」を謳うスイートピー予備校が、模試で東大・京大C判定の子に、確実に合格できる大阪や神戸大学にするように指導する方針(守りの進路指導)なら、大阪大学や神戸大学の合格率は上がります。一方、ひまわり予備校が、東大・京大がD判定でも諦めず受験することを薦める方針(攻めの進路指導)なら、不合格者が増えて、合格率は下がって当然です。
そうです。合格率は予備校の方針で変わるのです。どちらの予備校も、生徒のためを思って指導しています。ひまわり予備校はずっと目標としていた大学を諦めることなく、受験させてあげたい。スイートピー予備校は少しでも不安材料があるなら、1つ2つ下のレベルの大学を受験して、二度と辛い思いをしてほしくない。
このように、合格者数をアピールするから良くない予備校とはいえませんし、合格率が高くても良い予備校とは断定できません。数字だけでは何も判断できないのです。